≪著者・訳者紹介≫ ヘルガ・ドラモンド:リパプール大学行政管理研究所教授 澤田芳郎(さわだ・よしろう):愛知教育大学教育学部総合科学課程情報科学コース助教授 山口健二(やまぐち・けんじ):岡山大学教育学部専任講師(教育社会学、大学組織論) (内容) ロンドン証券取引所は、ビッグバンを背景に7年にわたって進めてきた株式取引決済システム<トーラス>開発の中止を宣言した。証券取引所とロンドン金融街がこうむった損害は、5億ポンドにのぼった。組織はなぜ、またいかにしてプロジェクト中止という悲惨な意思決定にまきこまれるのか。そもそも、どうして損害がもっと小さいうちにプロジェクトを中止できなかったのか。 著者のヘルガ・ドラモンドは、プロジェクトに従事した多数の人たちにインタビューし、内部文書の分析とあわせてプロジェクトの経緯を調べ上げ、「意思決定エスカレーション」という概念を手がかりに、壮大なストーリーをまとめた。 語り口も巧みな、稀代のアカデミック・エンターテインメント。
(主要目次) 1. なぜ意思決定はエスカレートするのか 2. <トーラス>研究法 3. 時がきました。よろしいかな? 諸君 4. 空前の失態 5. 痴れ者どもの集い 6. 失われた中止機会 7. 意思決定エスカレーションの起源 8. <トーラス>の構築 9. 小心なるもの、郷を離れず 10.再び失われた中止機会 11.最後の数カ月 12.明かされた真実 13.撤退 14.結論