【主要内容】 「オペレーションズ・リサーチ」(OR)は第2次世界大戦後に急発展したが、計算上の制約から実用的問題に十分対応できなかったことや、NP完全理論の呪縛により、1970年代に大きな曲がり角を迎えた。しかしその間も、多くの優秀な研究者たちが難しい問題群を解くために力を注ぎ続けていた。そしてその努力は、1990年代以降急速に整備された計算環境とデータ・ベースによって結実し、ORは「最適化の時代」の担い手として復活を遂げた。本書は、この嵐のような40年間を通り抜けてきた筆者が、“美しい理論は必ず役に立つ”という確信を手にするまでの物語を、個人的体験をベースに綴ったものである。
【主要目次】 第1章 時代の寵児・・・1960年代のOR ORとの出会い/運のよい研究員/米国式詰め込み教育/ダンツィク教 授の弟子 第2章 長い曲がり角・・・1970年代のOR 移り変わるORの研究拠点/ウィスコンシン大学数学研究所/国際応用 システム分析研究所/ロンド・アンド・ウィンディング・ロード 第3章 新しい胎動・・・1980年代のOR 文系スター集団を驚かせた線形計画法/国際数理計画法シンポジウム /カーマーカー事件/「投資と金融のOR」研究部会 第4章 新時代への助走・・・1990年代のOR ORと金融工学/OR王国の悲劇/大域的最適化/「応戦」のススメ 第5章 ORの新時代・・・21世紀のOR 整数計画法の大逆転/最適化の時代/理文総合アプローチ/洗濯夫の 犬