【主要内容】
ナイチンゲールは、統計学者だった!英国の陸軍兵士たちへの熱い想いが、彼女を統計学のプレゼンテーションの世界へと導く。ナイチンゲールと統計学の関係をはじめ、19世紀の統計学を創った、日本と西洋の人々の物語。
統計学というと、数字が並んだ表やグラフ、複雑な計算ばかりを思い出す。しかし、世の中のいろいろな情報を集めて整理し、未来の知恵にしようという考え方は、とてもシンプルである。 統計学は、国のようすを知るために始まったとされる。ヨーロッパでは、古くから何度も戦争をして、領土を取りあった。このとき、他の国のようすを知っておくことは、とても重要なことだった。国の統計から始まった統計学は、19世紀になって、人間や社会の問題をあつかうようになる。ナイチンゲールは、そんな統計学の新しい動きの中で、情熱の統計学者と呼ばれるほど、活躍した人物なのである。 この本では、ナイチンゲールの統計学者としてのエピソードをはじめ、彼女が生きた時代の、統計学を創っていった人たちの様子を紹介したい。みんな、人間のよりよい未来のために、統計学に取り組んだのである。(“はじめに”より抜粋)
【主要目次】
はじめに
第1章 ナイチンゲールは統計学者だった!
ナイチンゲールのイメージ/ナイチンゲールの生い立ち/語学と音楽/
数学がやりたい/ケトレという学者/天文台を作ろう!/平均人になろう!/
ケトレの発明BMI/病院の仕事/クリミア戦争/優秀な管理職/陸軍の改革に挑戦/
統計学者のファー/ダグラス・ゴードン/すべては報告書のために/報告書の完成/
一問一答の会話形式/ビジュアルなカラーグラフ/死亡率の計算/図面のかずかず/
小冊子の配布/ケトレの国際会議/国税調査/すべてが終わる
第2章 日本の夜明け
何と読むのだろう?/長崎の時計店/蘭学という学問/勝海舟との出会い/
柳河春三という人物/幕府の崩壊/はじめての「国勢調査」/明治政府からのスカウト
/官僚の世界か学問の世界か/日本最初の「統計学」の本/そのフランスの原書は?/
さて、その中身は?/統計学の専門学校/共立統計学校のネーミング/岡松の調査/
なぜ「統計」が嫌いだった?/なぜ統計学だったのか?
第3章 ダーウィンのいとこは面白い!
ある調査/ゴールトンの生い立ち/アフリカ探検/彼らの関係/旅行作家の誕生/
天才の遺伝/顔写真の合成/身体検査の提案者/ナイチンゲールの手紙/
ゴールトンの逆提案
第4章 統計界の水戸黄門はゆく
テレビドラマ水戸黄門/統計界の水戸黄門/ユニバーシティ・カレッジ/
ピアソンは菊池大麓と親友/フェミニズムの騎士/科学の文法/
エビとカニを愛したウェルドン/指紋の研究/統計界の黄門一家の活躍
第5章 二十世紀の改革者たち
修道院の中庭/メンデルの生い立ち/メンデル理論の考え方/メンデルの再デビュー/
ビールはナニ語?/ゴセットという人/ダブリンでの生活/なぞの学者の誕生/
t(ティー)検定/統計、中国語になる!/ヴィクトリアの星が逝く
おわりに
文 献