【主要内容】 日本では、「労働災害は本来あってはならない」という考えのもとに、災害発生件数を減少させる対策が講じられて、件数が減少したことを理由として、安全成績が向上したと主張します。しかし、実際には、災害発生件数が大きく減少した職場で、ある日突然、死亡災害や重大災害、あるいは企業経営に甚大な影響を与える爆発・火災などの重篤な労働災害が発生することがあります。この原因の一つとして、“繰り返し災害”に対する対策が、“めったに発生しない重篤度の高い災害”に対しては必ずしも有効ではないためと推察していきます。 では、“めったに発生しないが重篤度の高い災害”は、どのようにすれば防止できるのでしょうか。これは現在も研究途上で、簡単に説明するのはたいへん難しいのですが、少なくとも現場の管理・監督者、機械設備の設計・製造者、または、土木建築建造物や化学プラントの設計・施行者などが、安全工学に関する基礎的かつ体系的な知識を習得したうえで、適切な労働災害防止対策を実施することが必要不可欠です。本書では、安全工学に関する膨大な知見の中から、現場の管理・監督者が特に苦手とする課題を取り上げて、できるだけ平易に解説しています。
【主要目次】 第1章 労働災害防止対策における安全管理上の留意点 第2章 静電気による労働災害を防止するには 第3章 機械構造物の破壊の原因を解明するには 第4章 制御システムの安全関連部を適切に設計するには 第5章 仮設足場を適切に設計するには 第6章 土砂崩壊による労働災害を防止するには 第7章 爆発・火災による労働災害を防止するには