【主要内容】 「レジリエンス」とは、弾性、しなやかさ、回復力といった意味を有する言葉であるが、専門用語としてのレジリエンスは、システムが変化や擾乱を吸収して正常な機能や平静を保つ能力を意味する。特に、日本でレジリエンスという言葉が使われるようになったのは、2011年3月11日に東北地方を襲った東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験して以降である。 現代社会を襲うさまざまな脅威は、国家の成長や国民生活へ深刻な障害になるという認識が国際社会で高まっており、国全体を単位としたナショナルレジリエンス の考え方が提唱され、その強化策が国際的な場で議論されるようになった。 このようにレジリエンスは現代社会にとっての重要課題になりつつある。 このような背景から、2013年、東京大学大学院工学系研究科に「レジリエンス工学研究センター」が開設された。同センターの活動に関連する研究成果を踏まえ、レジリエンス工学を俯瞰的に紹介することを目的として著されたのが本書である。
【主要目次】 第1章 レジリエンス工学の誕生 第2章 自然災害とレジリエンス 第3章 重要社会インフラのレジリエンス 第4章 エネルギーシステム 第5章 強靭な金融システム 第6章 インフラ整備プロジェクトのレジリエントな制度設計