コンピュータにかかわる用語がもう何十年もかわるがわる世間の話題になっています。
2020年代初頭で我々の生活に溶け込んでいる技術に「AI」や「3Dキャラクター」に関するも
のがあります。
コンピュータはどんなに進化してもしょせん計算機に過ぎません。その裏には常に数学がつき
まといます。
例えば、物事の分析と予測を司るAIに「微分・積分」「確率・統計」は欠かせません。ゲームや
広告で当たり前となった3Dキャラクターの造形や動きを演算するには、「ベクトル・図形」
「行列」が欠かせません。
数学には、それなしでは数学そのものが存在し得ないような共通の基礎があります。数学に共
通する基礎、それは数そのものの性質です。数量の変化や構造などを追究する学が数学である以
上、数そのものの性質が数学のすべての分野に普遍的な共通事項でなくて、なんでありましょ
う。
「数のはなし」は無味乾燥になりがちです。ですので、本書では、入試対策にも、実務にも、教
養にも、娯楽にも、とよくばりに目配せしながら、せいいっぱい面白くすることに努めました。
第1章 数の世界を展望すれば
なぜ、ダメなのか/自然数であることの証言/かぞえてばかりが能ではない/ゼロから
マイナスへ/標識としての数もある/あちらこちらから、じっくり見る
第2章 つぎの数はなにか - 数列のはなし
ご存知、等差数列と等比数列/階差数列に手掛りを求めて/柳の下にどじょうがいると
は限らない/たくさんの正解に泣く/等比数列を加算すると/等差数列を加算すると/
なし崩しの証明法/無限の彼方になにが待つ
第3章 発散か、収束か - 級数のはなし
もういちど、無限の彼方になにが待つ/常識で知る無限の彼方/数列が発散したり収束
したり/数列の発散・収束を実地検証する/数列から級数へ/われらが友だち、級数く
ん/等比級数が収束するためには/小鹿の悲劇を級数で解く/循環小数を分数に変える
法/級数が収束するための必要条件/逆かならずしも真ならず/
級数が収束するためには/最後の力投
第4章 それは数か状態か -ゼロと無限のはなし
ゼロの発見/ゼロを含む計算/奇怪な世界'無限’/無限は均一に無限か/
もっと大きな無限がある/√2はなぜ無理数か
第5章 数の貴族たち -Π、e、i 、etc.
数に黄泉の国はあるか/iのはなし/Πのはなし/eのはなし/n!のはなし/
nCrのはなし/フィボナッチ数
第6章 数のチームカラー -自然数から行列まで
整数はとびとびがとりえ/割りきれ判定法/余りものに福あり/なにげなく、そして重
要な定理/素数は、いくつあるか/循環小数が生まれるメカニズム/有理数を展望すれ
ば/実数の世界がわれらの常識/数の兄弟ぶんと兄貴ぶん
第7章 当たらずとも遠からず -近似値からトリックまで
有効数字のはなし/油断のならない四捨五入/誤差伝播の法則/近似値計算のルール
数字に強いということ/数字を使いこなすテクニック/0の行列を利用する法/
パーセントは危険信号/数字を使ったペテン/ごあいきょう、テーマのすりかえ